赤外線を用いた非破壊検査が活躍する場所

非破壊検査は現代社会に欠かせない技術となっています。精密機器の欠陥やコンクリートでできた建物の劣化が著しい部分を見つけるためにその都度分解や解体をするわけにはいきません。こうしたニーズから研究がすすめられた非破壊検査の方法は様々で、超音波を用いたものやレーザーを用いたものなど、最先端の技術が使われています。赤外線を用いた非破壊検査も高度な技術を使われている物の1つです。

対象物に赤外線を当てて、その内部を調べる手法で食品業界や空港などのセキュリティ業界など、様々な業界でこのような検査機が用いられています。そうした検査が特に広く用いられている業界にビルやマンションの管理・修繕業界があります。近年では、高度成長期に数多く建てられた建物の外壁崩落などの事故が多くなってきています。コンクリートの建造物などは従来の方法だと時間もコストもかかり、調査を躊躇するビルオーナーなども少なくありませんでした。

そのような事態を打開するために赤外線検査がビルなどの修繕業界で広く用いられるようになりました。建物全体に赤外線を当てて、サーモグラフィで温度の分布を調べてその分布から建物の欠陥がある場所を発見するという方法です。この方法は足場などを作ったりといった作業が省けるほか、実際に作業員が打診する検査に比べて安全性が高く、こうした作業にかかる費用も削減できます。以前は検査の信頼性に問題があるとされていましたが、現在では日本赤外線劣化診断技術普及協会という団体によって厳しい基準が設けられて、信頼性を高めていく努力がなされています。